芭蕉の俳諧について以前、かんがえていたとき、そこにはわび、さび、しほり、ほそみ、かるみといったものがあることを知りました。中でもかるみということがずっと私の中に、一つの暗号のようにあります。
木のもとに汁も膾も桜かな
技法や発想を超えて、スッと一氣に抜けていく感覚や、桜散る伝統的ビジョンと今この時の一瞬の結び。とらわれなく、重さ無く、桜のひとひらの一瞬のような自在さ。
瞬間即永遠が、ここにはあります。
芸術とは何か、という定義は、様々に言われることですが、私はこういうところをどうやらずっと見ようとしている者のようです。時空の中にあって、時空を超えたものを。